飲み忘れ、服薬中断…「残薬」年間500億円分にも 医療費のムダどうする?

 残薬を他人に譲渡したりすると、思わぬ危険も。例えば、高齢者が腰に貼るために処方された湿布薬を孫に渡し、孫がふくらはぎなどに貼って屋外で使った場合、紫外線と反応して光線過敏症を発症することがある。道明さんは「本人が過去の薬を使う場合でも、まず薬局に相談してほしい」と話す。

 ◆1錠ごとに情報

 製薬業界でも取り組みが始まっている。モリモト医薬(大阪市)では、残薬を活用しやすいよう1錠ごとに薬の種類や消費期限などの情報を記載でき、保存性も高めた新しい包装「ESOP」を開発し、29年の生産開始を目指している。

 盛本修司社長(56)は「現在の包装では切り離されると薬の種類や期限が分からなくなってしまう。1錠ごとに情報が明記されれば、使える薬を有効に活用できる」と説明。9月に「日本安全服用協会」を設立し、残薬の活用などに精通した「安全服用アドバイザー」を養成するという。

 医薬品の包装などを研究する「創包工学研究会」(東京都千代田区)は「現在の一般的な錠剤の包装は防湿性が高くないため、長期間保存すると変質する可能性がある。保存性の高い包装に変われば残薬の安全性は高まる」としている。

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