パリ同時多発テロ

政府・与党 共謀罪新設を再検討 米英から諜報ノウハウ導入へ 来年2月専門家会合

 政府・与党は17日、パリの同時多発テロを受けた国内テロ対策として、重大犯罪の謀議に加わっただけで処罰対象となる共謀罪の新設に向け、組織犯罪処罰法改正案の国会再提出について検討に着手した。政府は主要国首脳会議「伊勢志摩サミット」などを見据え、テロ対処能力向上のため諜報組織を持つ米英から最新ノウハウを導入し、来年2月には国際テロ・国際組織犯罪の専門家会合を都内で開く。

 自民党の谷垣禎一幹事長は17日の記者会見で、共謀罪を新設して国際社会と連携する必要があるとの認識を示し「来年は日本でサミットを行う。情報がないと十分な対応はしにくい」と述べた。高村正彦副総裁も党役員連絡会で「法整備をしっかりやらなければいけない」と意欲を示した。

 共謀罪をめぐっては、国連が2000年に「国際組織犯罪防止条約」を採択。同条約に署名した政府は共謀罪を新設する組織犯罪処罰法改正案を国会に3回提出したが、いずれも廃案となっている。

 菅義偉(すが・よしひで)官房長官は17日の記者会見で「条約締結に伴う法整備は進めていく必要がある。慎重に検討している」と述べた。

 また政府は20年の東京五輪・パラリンピックも控え、対テロの重点方針として(1)テロ組織への資金供給の途絶(2)外国人戦闘員の増加防止(3)暴力的過激主義への対応-の3つを決定した。

 外国人戦闘員の入国阻止や、インターネットを通じ海外でテロ戦闘員となる邦人の国内での活動に対処するには、米中央情報局(CIA)や英秘密情報局(MI6)など日本政府が持たない諜報組織の知見も必要となる。新たなテロ手法への対処方針などと合わせて米英に協力を呼びかける。

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