【カイロ=大内清】イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」がパリ同時多発テロを引き起こしたのは、米欧主導の対イスラム国軍事作戦によってシリアやイラクでの「領土拡張」が行き詰まる中、外部でも活動を本格化させる戦略に転換したためだとの見方が浮上している。16日にはパリなど欧州各地や米本土でテロを行うとの新たなビデオ声明を出し、テロ戦術を継続する姿勢をみせた。
「今のイスラム国は(有志連合の空爆により)シリアやイラクで劣勢にある。だから海外でその穴埋めをする必要に迫られている」
エジプトでかつてテロ闘争を展開した過激組織ジハード団の元メンバーで、現在はイスラム運動を研究するカマール・ハビーブ氏は、イスラム国の現状をこう分析する。
もともとはイラクが拠点のイスラム国は、2012年ごろから内戦下のシリアでも活動を活発化させた。