日曜講座 少子高齢時代

地方の公共交通機関 思い切った運賃値下げが必要

すでに縮小傾向が進む

 少子高齢化や人口減少社会を意識する人が増えてきたようだ。内閣府が10月に公表した「国土形成計画の推進に関する世論調査」で84・6%が「実感している」と回答。「まちで高齢者の割合が増えた」「商店街で閉店店舗を見かけるようになった」などの声が上位に並んだ。

 人口減少に対する課題は山積するが、公共交通機関の存廃などはその代表だ。将来不安を感じる人の25・8%(複数回答)が、バスや鉄道の運行本数が減ることを懸念材料として挙げた。車を運転できない子供や高齢者などにとって「生活の足」であり、その衰退は生活を直撃する。

 公共交通機関は、これまで利用客が減ると運賃を値上げし、それがさらなる乗客減少を招くという悪循環を繰り返してきたが、今後は総人口が減るため必然的に乗客の絶対数が少なくなる。人口が激減する地方では、厳しい状況が予想されよう。

 すでに利用者減や路線の廃止、運行本数の減少といったサービス水準の低下は進み始めている。国土交通白書が1990年と2013年の輸送人員の比較を紹介しているが、バスは35%減、地域鉄道は22%減だ。2011年度の国交省調査によれば、公共交通の空白地域は可住地面積の30%を占め、空白地人口は735万人に上った。

会員限定記事会員サービス詳細