また、裁判官、検察官、弁護士といった実務家のみで作成できる分野がある一方、「憲法や国際法など、実務家に問題作成が向かない分野もある」(司法試験に関わったことのある裁判官)との指摘もある。このため、29年以降も法科大学院の現役教官の除外を続けることで試験の質を保つことができるのか、疑問視する声があるのも確かだ。
他方、28年試験では、学部生のみを受け持つ研究者が作問に関わることが可能。これについては、「学部専門の研究者とはいえ、法科大学院の学生と接点を完全に排除することは難しい」(法科大学院関係者)との声があり、不正の温床はいまだ残るとの考えも存在する。今後、検討しなければならない課題の1つだ。
法律家の実力低下や、後見制度などをめぐる弁護士が絡んだ事件・トラブルが急増する中で起こった、その資格の原点となる試験での不正に対する世間の目は厳しい。一方で、法律を駆使して市民生活を守る法律家への期待は大きく、WTが公平な試験体制の確立に向けどのような結論を導き出すのか注目される。