当然のことだが、司法試験の作問は骨の折れる作業だ。また、主要な研究者はほとんど法科大学院の現役教員なのが現状。このため、担当者は「科目によっては、教員に代わって新たに適格者を見つけることができるのか、予想が付かない」と気を揉(も)む。
また、WTの中間提言に従えば、現時点では法科大学院の現役教員でも、推薦までに職から離れれば、考査委員になることは可能。しかし、「考査委員への謝礼が高いとはいえない。法科大学院教員を辞してまで、作問に関わってくれる研究者がいるとは思えない」と打ち明ける職員もいる。
このため、前年よりも大幅に適格者の候補が減った現状では、考査委員体制も縮小される可能性があるのだ。
学部の教員関与はいいのか
中間提言は28年試験限定のため、WTは今後、28年試験の作問過程で表出した課題なども踏まえて、29年以降の対応を検討していくことになる。その検討結果が出る時期は、28年試験が実施された来年5月以降との見方もある。
事件の性質上、公平性の観点から法科大学院教員を考査委員から外すよう求める声は多い。一方で、法科大学院での教育を前提とした現在の試験の性質上、「法科大学院関係者の試験への関与は不可欠」との意見も根強く、WTも中間提言で関与の必要性に触れている。