作問・採点担当は例年、試験前年の10月中旬には、試験を運営する法務省の司法試験委員会が候補者を推薦、法相が任命。採点担当は翌年5月の試験終了後に同様の手順で選ばれる。
ただ、担当者によると、「突然、考査委員をお願いしても無理なので、推薦前に省の事務方が下交渉をしてほぼ内諾を得ている」という。つまり、司法試験委員会が候補者を推薦する段階で、陣容はほぼ決まっているのだ。
一方、9月の事件発覚以降、28年試験での考査委員選考方針は練り直しを迫られることに。例年なら、下交渉している段階だったが、作業は完全にストップした。10月21日のWT提言を受けて、法務省は候補者の選定作業にようやく着手できたが、「例年に比べれば、大幅に遅れている。自動的に試験作成期間が短くなる」としており、予定通り来年5月に試験を実施するためには、厳しいスケジュールが強いられている。
考査委員体制縮小も?
ようやく、選考に着手した法務省。WTに突きつけられた条件は単純だが、考査委員体制の根本に関わっている。
今年の試験で作問を担当した考査委員は132人。うち法科大学院の現役教員はおよそ3分の1の39人だった。例年並みの体制を維持するのであれば、法科大学院と関係のない研究者か実務家から、現役教員分を補填(ほてん)するしかないことになる。