司法試験考査委員だった明治大学法科大学院の青柳幸一元教授(67)=国家公務員法違反罪で在宅起訴=による試験問題漏洩(ろうえい)事件を受けて法務省が設置した有識者ワーキングチーム(WT)が、28年試験に関する中間提言を行った。事件発覚によりストップしていた28年試験に向けた考査委員選考がようやく始まったかたちだ。疑念払拭と試験問題レベルの確保という課題への対応を迫られる法務省は急ピッチで体制づくりを行っているが、WTが突きつけた条件は厳しく、担当者も「どのような作問体制になるのか、予想は難しい。とにかく進めるのみだ」と頭を抱える。
厳しいスケジュール
WTが来年、28年試験に向けた考査委員体制について提言したのは「法科大学院の現役教員を問題作成担当から外す」というもの。教え子の女性への論文式問題漏洩で起訴されたほか、立件は見送られたものの、法科大学院1年生の授業で試験前に短答式についても内容に触れていたことが判明したことも考えれば、至極当たり前の提言にみえる。
法務省も当然予期していた結論ではあったが、頭を抱えるのはなぜか。そこには、「時間」と「なり手」という2つの問題が浮かび上がる。
考査委員は(1)作問と採点のいずれも担当(2)採点のみの担当-に分かれる。青柳元教授は(1)にあたる。