武蔵野市「ムーバス」20年 年間260万人利用、市民の足に 東京

 ■全国初の都市型コミュニティーバス 

 武蔵野市が平成7年11月に全国初の都市型コミュニティーバス「ムーバス」の運行を始めて20年がたった。1回100円で乗れるうえに、市内を中心に7路線9ルートときめ細かな路線を設けたことで、今や1日に約7千人、年間約260万人が利用する市民の足として定着した。(三浦恒郎)

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 運行20年を記念し、市内にあるマンガ編集、著作権管理会社の協力を得て、今月から人気マンガ「シティーハンター」「北斗の拳」「義風堂々!!直江兼続~前田慶次 花語り~」のキャラクターを描いたラッピングバスを走らせるなど記念事業も展開している。

 ムーバスの運行を始めたのは、路線バスが近くを通っていない「バス交通空白地」や便数が少ない「不便地域」を解消し、お年寄りや子供連れでも気軽に、安全に外出できるようにするため。同市が車両を用意してバス会社に運行を委託、赤字は市が補助する。

 最初に開設された路線「吉祥寺東循環」は吉祥寺駅を起点とし、駅東側をJR中央線をまたいで時計回りに一周。高齢者の歩行距離を考慮して、200メートル間隔でバス停を整備した。

 現在では三鷹駅と武蔵境駅を含めた同市内の3駅を起点とする7路線9ルートに拡充され、隣接する三鷹、小金井市域を通る一部経路については両市と共同運行している。これにより、一般路線バスの運行経路を含めれば、「バス停から250メートルの円を描くと市内全域を埋めきってしまう」(邑上守正・武蔵野市長)ようになり、バス交通の空白地、不便地域は消滅したという。

 ただ、経営的には赤字続きで、黒字化するには料金を120円以上にすることが必要とされる。しかし、同市は細かな経路見直しや利用促進をアピールすることで「乗客増で収支を改善し、当面は今のワンコインを続けていきたい」(同)としている。

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【用語解説】コミュニティーバス

 公共交通手段の乏しい地域住民のために、自治体などが運行する短距離の乗り合いバス。民間のバス会社に運行委託するケースが多く、大型の路線バスが入ることのできない住宅街や、一般路線バスの経路からはずれた公共施設などを結んで運行されている。

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