消費税率10%への引き上げと同時の導入を目指す軽減税率の制度設計をめぐる自民、公明両党の協議が迷走を続けている。対象品目の線引きをめぐり、なるべく狭く品目を絞り込みたい自民党と、幅広い品目への適用を主張して一歩も引かない公明党の堂々巡りが続いているためだ。両党は20日までの大筋合意を目指してきたが、歩み寄りの気配はなく、基本合意の先延ばし論も浮上してきた。
自民党は対象品について導入当初は「精米」や「生鮮食品」に絞り込み、段階的に品目を拡大する案を主張する。自民党が、品目を絞り込みたいのは、どの品目が軽減なのか線引きが分かりにくければ、消費者や事業者が混乱するとの懸念がある。
自民党税制調査会の宮沢洋一会長も10日の非公式の会合後「混乱のない制度とする必要がある」と改めて強調した。対象品目を絞り込めば、消費者は軽減品目と判別できるうえ、事業者の経理についても、準備が整えやすいとの判断だ。
一方で、公明党は「酒類を除く飲食料品」を対象品目に加えるべきだとの主張を崩さない。この場合も、酒以外が軽減対象だと消費者が識別できるうえ、事業者の経理上の線引きも分かりやすくなるためだ。