あの現場は今

町田・同級生刺殺事件 「読モ」のクラスメートへの叶わぬ恋心…「うざい」で憎しみに一転し…

 父の墓がある寺の当時の住職(73)は「人を殺してたって心は満たされない。苦しくなって自分の原点に返ってきたのだろう」と思いを巡らす。

加害者に「被害感情」、絶えぬストーカー事案

 少年について東京家裁八王子支部は検察官送致を決定。殺人罪に問われて懲役11年の判決が東京地裁に言い渡され、21年の控訴審でこの判決が確定した。

 裁判で弁護側は「少年院での処遇が必要」と家裁への移送を主張したが、東京高裁は「長期の刑事罰を科して規範意識を育てるべきだ」と指摘した。

 少年の犯行以降も、「好意の感情」や「好意が満たされないことによる怨恨(えんこん)」が動機となる事件は今も後を絶たない。これらストーカー事案の行為者は、10代は昨年で全体の3・9%(894人)と比較的少ないが、最近5年間は年々増加している。

 「聞きたいことがあるのに無視される」「こんなに自分を苦しませる相手を不幸にさせたい」など、ストーカー事案では、行為者側が被害者感情を持っている場合が多い。

 自暴自棄になっている行為者にとって刑罰は抑止力にならないとの声も多く、昨年からは警察が警告した行為者に治療を促す取り組みも始まった。国や警察のストーカー対策はまだ改善の途上だ。

 「人は誰でも生まれながらに相手を慈しむ心を持っている。その心が正しく発露するかどうかは、環境や教育にかかっている」。住職は墓地に目をやりながらこう付け加えた。

 事件から10年、判決確定からも6年が過ぎた。少年は父親に加え、女子生徒にも手を合わせられるようになったのだろうか。

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