甲子園の晴れ舞台支えた声 小野高校2年・杉本菜瑠さん

アナウンスの練習をする杉本菜瑠さん=小野高校
アナウンスの練習をする杉本菜瑠さん=小野高校

 今年8月6日、阪神甲子園球場。高校野球生誕100年の節目の「第97回全国高校野球選手権大会」開会式を見ようと、スタンドは熱気にあふれていた。「選手が入場します」と高らかに告げた。選手の動き、バックスクリーンの映像、タイミングを指示する大会関係者のサイン…。それらを総合して学校名をアナウンスしていく。「とにかく間違わないように」。小野高校2年の杉本菜瑠さん(16)は、心の中でこう繰り返していた。

 コンテストなど静まりかえった会場でのアナウンス経験はあるが、わき上がる歓声の中は初めて。「選手の晴れの舞台を支えたい」と思い、原稿を読み上げることは楽しく感じられた。ただ、立ちっぱなしと、吹き出る汗を拭(ぬぐ)ってはいけないことが辛かった。

 夜、テレビ番組で自分のアナウンスを見た。緊張しているのが手に取るように分かった。でも90点の出来。「これまでの人生で一番の思い出」と振り返る。

 中学時代から授業中に国語の教科書を朗読したり、文化祭で絵本の読み聞かせをしたりするなど人前で文章を読むことが大好きだったので、小野高校へ進学すると放送部に入部した。

 部活では発声練習のほか、報道原稿や自分で取材した町の話題などのオリジナル原稿を読む練習を繰り返す。自宅に帰ればNHKのニュースを見ながら、アナウンサーの目線や表情もチェックする。

 「明るい話題が好きなので、プロがどう伝えているのか、また、事件・事故のニュースとの切り替えをどうしているのかも気をつけています」

 今年6月、NHK杯全国高校放送コンテスト県大会のアナウンス部門で2位に入賞。全国大会への切符と同時に、4位までの入賞者に与えられる甲子園でのアナウンスの大役を得た。

 甲子園の準備には気を使った。甲子園球場は音が全体に響くので、アナウンスにも適度の区切りや間が求められる。甲子園の残響に近い校舎の階段で、普段よりゆっくり、はっきりとした発声練習を行った。

 その甲斐あってか、開会式2日前、球場での練習で本番と同じ高性能マイクに向かって発声すると、気持ちいいほど球場全体に自分の声が響き渡った。

 将来はやはり、プロのアナウンサーになりたいと願っている。「難しいのは分かっていますが、東京のキー局が目標」という。

 放送部に入るまでは夢中になれる趣味や特技に出合えなかったが、「アナウンスは心の底から『好きだ』といえます。一生続けていきたい」。

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【プロフィル】杉本菜瑠

 すぎもと・なる 平成10年12月、西宮市生まれ。両親と中学2年の弟の4人家族。好きな学科は世界史。趣味は推理小説や恋愛小説を読むことで、好きな作家は東野圭吾や有川浩。大学では西洋史学科かコミュニケーション学科に進学し、最終的な夢に向かって前進したいという。

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