宇都宮市が導入を進めるLRT(次世代型路面電車)計画で、官民出資による第三セクター「宇都宮ライトレール」の創立総会が6日、宇都宮市役所で開かれた。平成32年の開業を目指して運営会社が正式に設立。9日に登記申請する。
同社は本店を宇都宮市中央に置き、資本金1億5千万円。株式数は3千株、株主は10人。創立総会とその後の取締役会で、社長に高井徹宇都宮市副市長、副社長に上野哲男芳賀町副町長を選任。常勤の取締役(安全統括管理者)に中尾正俊・元広島電鉄常務を充てたほか、市、宇都宮商工会議所、芳賀町商工会、県内26企業で作る持ち株組合「とちぎライトレール支援持株会」、関東自動車、東野交通から計6人が取締役に就任した。また足利銀行と栃木銀行から1人ずつ監査役を選任した。
今年度中に国に対して軌道運送高度化実施計画の認定を申請(軌道法の特許申請)する。28年度中の着工、32年の開業を目指す。
創立総会後、佐藤栄一宇都宮市長は「ここまで来るのに、時間がかかったとも、逆に早かったとも言えるが、これからまだ課題が残っているので気を引き締めて芳賀町と進んでいきたい」と述べた。
また、福田富一知事は「実現に向けて一歩前進したと考えており、新会社の確実で永続的な運営を期待する。県としての支援は、詳細な事業計画や地元説明会を踏まえ、県民や県議会の理解を得ながら判断したい」とコメントした。
LRT計画は、JR宇都宮駅をまたぎ、西側の中心市街地と市東部の工業団地や芳賀町までの18キロを結ぶ。優先整備される駅東側(約15キロ)だけで総事業費458億円が見込まれる。平日の利用者を約1万6300人と試算し、開業初年度からの黒字を想定。利用定着率が100%となる3年目以降は年間1億4千万円の収益があると見込んでいる。
一方、導入に反対する市議や住民が賛否を問う住民投票条例案をこれまでに3回、市議会に提案したが、いずれも否決されている。