月々の返済額を年収に応じて減らしたり、増やしたりできる。文部科学省が、そんな新たな仕組みの奨学金の導入を検討している。「所得連動返還型」と呼ばれ、来年1月に運用が始まるマイナンバー制度によって個人の収入が把握しやすくなるため実現の見通しが立った。無理のない返済ペースが可能となるため、借り手の負担感が軽減され、低迷している回収率の向上にも寄与しそうだ。(玉崎栄次)
◆5千億円未回収
新たな仕組みは、文部科学省の外郭団体「日本学生支援機構」の奨学金が対象。無利子と有利子の2種類があり、国費を財源としている。現在は年収にかかわらず、決まった金額を月々返済することになっているが、延滞者数が高止まりしているのが現状だ。
機構によると、平成17年度に約99万人、約7400億円だった貸与人数と金額は、27年度に約134万人、約1兆1139億円にまで膨らんだ。大学生らの2・6人に1人が借りていることになる。未回収額(1日以上延滞)は26年度で計約5千億円に上っている。