図書館は今(下)

電子書籍サービス 知る権利に応える

 9月にサービスを開始した同県潮来(いたこ)市立図書館では介護事業者の登録もあり、船見康之館長は「介護者がシステムにアクセスすれば、寝たきりのお年寄りも読書が楽しめる。忙しいビジネスマンや子供が騒ぐことを気にして来館できない子育て中の主婦など、多くの人に利用してほしい」と呼びかける。

 盲ろう者で、東京大先端科学技術研究センターの福島智教授(バリアフリー研究)は「図書館の使命は、すべての市民が書籍などの人類の知的・芸術的産物にアクセスできるよう保障すること。社会の文化水準のバロメーターともいえる図書館の質的向上の一環として、障害者サービスの充実を推進すべきだ」という。

全国どこでも

 一方、公共図書館にはそれぞれに資料収集方針があり、地域の課題やニーズに応じて蔵書内容や障害者向けサービスに差が生じているのが現状だ。こうした問題を解消する取り組みとして、各地の図書館の点字や音声資料を利用者のパソコンに直接送信する「サピエ図書館」(全国視覚障害者情報提供施設協会運営)なども始まっている。

 現在の図書館が抱える課題について、専修大文学部の植村八潮教授(出版学)は「図書館の利用者は住民の2割程度にとどまり、ごく一部の愛好家によって支えられているのが現状」と指摘。その上で「国民の知る権利に応えるには、電子図書館でも選書などのクオリティーを維持するとともに、災害や公共工事、文化など地域独自の情報をアーカイブ化し、地域を問わず必要とする人に提供する方法がある。20年後の図書館は、今とは全く異なる姿をしているはず」と期待する。(村島有紀)