【ワシントン=青木伸行】ロイター通信によると、米国防総省当局者は2日、南シナ海での米海軍艦船による「航行の自由作戦」を、「四半期(3カ月)に2回かそれ以上」の頻度で継続すると語った。
当局者は「作戦は定期化しながらも、(中国を)挑発するものではない。国際法の下での権利を定期的に行使し、(権利を)中国などに認識させるものだ」と指摘した。ローズ大統領副補佐官も、作戦は「航行の自由という原則を守るものだ」とし、継続する方針を改めて表明した。
ただ、カーター国防長官は先月末、上院軍事委員会の公聴会で「今後数週間から数カ月、作戦が継続されるだろう」と証言し、より頻度が高い恒常的な作戦の実施を示唆していた。3カ月に2回程度の作戦には、効果の面などから批判的な見方も出ている。
一方、米軍協会のニュースサイトは2日、国防当局者の話として、先月の作戦が「無害通航権」として実施されたと伝えた。国連海洋法条約は、外国船舶が秩序や安全を害することがない限り、他国の領海を通行する権利を認めている。
米政府は9月、中国海軍の艦船5隻がアラスカ州沖のアリューシャン列島を通過した際、米国の領海に進入したものの無害通航権として看過した経緯がある。
同サイトは、無害通航権に基づく作戦の実施に「人工島の周辺を『領海』とする中国の主張を、暗に米国が認めたとの認識を与えかねない」と懸念を示した。