図書館は今

(中)「無料貸本屋」論争 販売部数を上回った貸出数

 「新刊を買う人と無料で借りる層は必ずしも重ならない」。慶応大の根本彰教授(図書館情報学)は貸し出し猶予の効果を疑問視しつつ、「数値化しやすい指標での行政評価が貸し出し一辺倒の流れを加速させ、軋轢を大きくした」と図書館側の問題も指摘する。欧州には資料が借りられた著者に国が資金を還元する制度を導入する国もあるという。「公共サービスと商業出版をどうすみ分けるか。現行制度で利害調整が難しいなら、法改正も含めて議論する必要がある」(海老沢類)

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