月刊正論

日本よ腹をくくれ! 尖閣開発プロジェクトを発動せよ 北村淳(軍事社会学者) 

 しかし、やはり早期警戒機と同じく、警戒監視のために軍艦を出動させれば、それだけ海軍の資源を消費してしまうことになる。それに比べて、移動できないというデメリットはあるものの、オイルリグの水上監視レーダーは、平時においては人民解放軍にとってコストパフォーマンスに優れた装置なのだ。

 上空と海上の監視に加えて、オイルリグにソナーを設置すれば海中の警戒監視も可能になる。ソナーとは、音波によって海中の物体を探知する装置であり、軍事的には主として敵潜水艦を探知するために潜水艦や水上艦艇に装備されている。自らが発した音波の跳ね返りを探知するアクティブソナーと、こちらから音波を発せずに敵潜水艦が発する音波を受信して探知するパッシブソナーがあり、軍艦では両者を使い分けている。

 アクティブソナーのほうが探知効率に優れているのだが、自身が音波を発するので敵に探知されるリスクも高い。しかし、オイルリグはもともと設置場所が固定され、公表されているのだから、そのリスクを考える必要はない。秘匿性を最大の武器としている海自潜水艦にとっては、オイルリグ周辺海域は鬼門となってしまうのだ。

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