月刊正論

日本よ腹をくくれ! 尖閣開発プロジェクトを発動せよ 北村淳(軍事社会学者) 

 当然、日本の尖閣諸島開発プロジェクトに対して、中国は猛反発をするであろう。しかしながら、かつての日系企業焼き討ちのような暴挙が中国国内で繰り返されたならば、南シナ海問題以上に国際社会での反発が高まり、中国政府の面子がますます低下することは必至である。またこのプロジェクトはアメリカや台湾も巻き込むため、中国の対応は複雑かつ微妙なものにならざるを得ない。

すでに腹をくくるべきタイミング

 日本政府が、中国のオイルリグ建設を公表して非難しているだけでは、中国にとっては雑音にすぎず、痛くも痒くもない。アメリカの後ろ盾を片思い的にどれだけ期待しても、アメリカ当局の「アメリカにとっては利害関係がない東シナ海での日中間のいざこざ」程度の認識を変えることはできない。

 現時点で、日本政府が腹をくくって何らかの具体的対抗策を打ち出さないと、オイルリグすなわち警戒監視塔がますます増殖していくだけでなく、中国版尖閣諸島開発プロジェクトまで登場しかねない。

■北村淳氏 東京生まれ。東京学芸大学教育学部卒業。警視庁公安部勤務後、ブリティッシュ・ハワイ大学などで助手・講師等を務め、ブリティッシュ・コロンビア大学でPh.D.(政治社会学・軍事社会学)取得。米シンクタンクでアメリカ海軍等へのアドバイザーを務める。米国在住。日本語著書に『海兵隊とオスプレイ』(並木書房)、『巡航ミサイル1000億円で中国北朝鮮も怖くない』(講談社)など。

※この記事は月刊正論10月号から転載しました。ご購入はこちらから。

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