JR九州が新手のシカ対策 鉄分含むブロック試験設置へ

 JR九州は2日、野生動物と列車の衝突事故対策として、新たに野生のシカが好むとされる鉄分を含んだ塩製の誘鹿材(ゆうかざい)ブロックの試験設置を平成27年度内にも始めることを明らかにした。効果が実証されると、28年度以後、肥薩線などで本格的に導入する。

 ブロックは建材総合メーカーの日鉄住金建材(東京)が開発した商品名「ユクル」。同社はシカが線路周辺の草を食べた後、レールをなめる行動に注目した。シカの生態をさらに調査した結果、車輪との摩擦で生まれた微細な鉄粉をなめようとレールに近付くことを突き止めた。そこで、塩に鉄分を混ぜ、立方体にしたブロックを防護策から数メートル離れた場所に置き、誘導することにした。重さは1個5キロ。

 JR九州管内では27年度上半期に野生の動物の接近などによる輸送障害が260件発生。約75%の192件がシカとの衝突で、山間部を走る肥薩線での発生は95件と突出していた。

 シカなどと衝突すれば列車遅延に限らず、車両が壊れるなどの影響も大きい。鉄道各社が防護策の設置などの対策に頭を悩ませる中、同ブロックは救世主になると期待されている。(中村雅和)

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