正論

「台風を放棄する」と憲法に書けば台風が来なくなるのか? 危惧抱く教養主義の衰退 平川祐弘(東大名誉教授)

 《外国語による自己主張の訓練を》

 教養教育批判が出るについては、従来の教養部に問題もあったろう。しかし私は教養主義を奉じた旧制高校で学び、新制大学では教養学部の教養学科を出、教養学士の学位号を持つ者だ。おかげで80代でも仏語で本を出している。恩恵を感じるだけに教養主義の復権を唱えずにはいられない。私が学際的につきあった人は理系社会系を問わず詩文の教養があり外国語が達者な人が多かった。外国人と食卓で豊かな会話もできぬような専門家では寂しいではないか。

 では21世紀の要請に応え得る教養人の形成は具体的にどうするか、その一石二鳥の語学教育法を披露したい。人文主義的な教養教育の基礎は外国語古典の講読で、徳川時代は漢文、明治・大正・昭和前期は高校では独仏の短編などを習った。西洋では以前はラテン・ギリシャhumanites classiquesを習ったが、近年は近代語古典 humanites modernesへ重点が移行した。

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