ロケ地巡りの旅

映画「ママは日本へ嫁に行っちゃダメというけれど。」 宇都宮屋台横丁 台湾との絆

原作にも登場する宇都宮屋台横丁で、ロケが行われた=宇都宮市二荒町
原作にも登場する宇都宮屋台横丁で、ロケが行われた=宇都宮市二荒町

 映画「ママは日本へ嫁に行っちゃダメというけれど。」のロケが原作にも登場する宇都宮屋台横丁で行われた。

 宇都宮市中心部、馬場通りと日野通りをつなぐ約50メートルの細長い敷地に23店の屋台がひしめく。店の外にテーブルや椅子を並べるのは独立して2年近くという神田直樹さん(30)の焼き鳥「かんちゃん」。そろそろ夜も冷え込んできたが、活気と熱気に満ちている。その正面は台湾料理「酔愛菜(すいあいさい)」。9月下旬、酔客でにぎわう連休中の夜にロケが行われた場所だ。

 主人公は、フェイスブックを通じて知り合った日本人男性「モギサン」と台湾人女性「リンちゃん」のカップル。実話が基になっており、2人がデートをし、当時宇都宮に住んでいたモギサンが常連だった店だ。一人で切り盛りする明美さん(53)=本名・黄淑琴(ファンスーチン)=はこのカップル誕生に大きく関わっている。「リンちゃんに会いに台湾に行く前、(モギサンに)簡単な言葉を教えた」と背中を押した。

 自分の店でのロケに喜び、「台湾からたくさんの人が宇都宮に来てほしい」。台湾からの旅行者には、自分の店ではなく、日本の料理を味わってほしいといい、「言葉が分からなかったら、他の店の人が助けて、と来るから私は大忙し」と通訳を買って出る。

 軒を並べる店は客を取り合うライバルではなく、日頃から助け合う仲間。炉端焼き「火あぶり」の枝野ちえさん(56)は「明美さんは日本人より昔の日本人らしい。きさくで声が大きくてさっぱりした人。ここではしょうゆが足りなければ隣に借りるし、自分さえ良ければという人はいない」。肩が触れ合いそうな狭い通りに昭和の薫りが漂う。

会員限定記事会員サービス詳細