この本と出会った

漫画家・コラムニスト、辛酸なめ子が読む『風邪の効用』野口晴哉著

【この本と出会った】漫画家・コラムニスト、辛酸なめ子が読む『風邪の効用』野口晴哉著
【この本と出会った】漫画家・コラムニスト、辛酸なめ子が読む『風邪の効用』野口晴哉著
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 ■「治す」でなく「経過させる」 

 誰もが年に何度かひく風邪は人生に平等に訪れる試練の一つです。重病ではないけれど、風邪は精神状態にかなりの影響を及ぼします。私など重い風邪をひいている間は妙に弱気になり、もう働けない気がしてその間に来た仕事は断ってしまいがちです。しかし風邪が治ると、すっきりしてデトックスした感があり、風邪をひく前より体が軽くなっているのが不思議でした。

 その風邪の知られざる秘密について語られているのが『風邪の効用』です。長年の整体師としての経験から「実際風邪くらい厄介なものはない」と語る著者、野口晴哉(はるちか)氏。その人の性質や体の具合によってかかる風邪の種類も違うそうです。姿勢が前屈みの人は喉(のど)と鼻の間からひき、体の左右に偏りがある人は下痢をする、など。風邪のきっかけもさまざまで、頭にエネルギーが行きやすい人が寝ながらテレビを見ると呼吸器系統に異常を起こし、風邪をひくというパターンも。「頭を使い過ぎて頭が疲れても風邪をひく」「消化器に余分な負担をかけた後でも風邪をひく」「腎臓のはたらきを余分にした後でも風邪をひく」と、もはや逃れられない風邪のカルマ。私個人的には、電車などで咳(せき)をする人が近くにいたとき、(うつったらイヤだな)と思うほどうつり、(お大事に)と心の中でいたわるとうつらない、という傾向にあるような気がしています。野口氏の場合はもっと感覚的で、「『まあ寒い!』などとハッと思うと風邪をひく」という、何となくわかるようなわからないような…。心に油断があると菌につけ込まれやすいのでしょうか。でも、その時におなかに力を入れると、風邪をひかないそうで、なかなか上級者向けテクニックです。

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