家族のかたちどう判断 伝統的価値観か現代的な多様性か 夫婦別姓、再婚禁止期間の違憲性争う訴訟 4日に最高裁大法廷弁論

 民法で定めた「夫婦別姓を認めない」とする規定と「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」とする規定の違憲性が争われた訴訟の弁論が4日、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)で開かれる。いずれも夫婦はもちろん子供の養育も含めた家族のあり方に深く関わる。原告らは家族の多様化を理由に「民法は社会の変化に対応できていない」と主張する一方、「家族の絆が弱まる」との慎重論も根強い。伝統的価値観と現代的な多様性を最高裁はどう捉えるのか。早ければ年内にも初の憲法判断が示される見込みだ。(大泉晋之助)

氏名の性格変わる?

 選択的夫婦別姓制度導入を訴える原告は、現制度では夫婦のいずれかが姓を変えなければならず、さらに約96%の夫婦が夫の姓を名乗っているという偏った現状を問題視。「個人の尊厳や両性の平等を保障する憲法に違反する」と訴える。

 早稲田大の棚村政行教授(家族法)は「働く女性が増えて、家族のあり方は変わってきた。男性でも女性でも実績のある人物が、名前を戸籍上も変えることに不便を感じる場合がある」と指摘。その上で、「離婚や再婚、国際結婚が増える中、その度に名前を変えるのが社会にとって好ましいか、名前が一緒だから家族の一体感が生まれるのか、考える必要がある」と話す。

 一見、夫婦の平等や多様性を認めることになりそうな夫婦別姓のどこが問題なのか。「氏名の性格が根本的に変わる。『選択的』としつつ、国民全体の家族観に関わる」と反対するのは麗澤大の八木秀次教授(憲法学)だ。

 八木教授によると、夫婦同姓での氏名が「家族名に個人名を加えたもの」である一方、夫婦別姓では「氏名は完全に個人のものになる」と指摘。別姓を選択すれば夫婦や親子の姓が異なり、同姓を選択したとしても夫婦やその子供の「個人の呼称」が一部重なるだけになるため、「家族の一体感が希薄化する」と懸念する。職場などでの「通称使用」が広く普及したことから、「別姓を制度上認めなくても不便は生じない」という。

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