川勝知事は人口200万人以上の政令指定都市(周辺地域も含む)に特別区設置を認めている大都市地域特別区設置法を改正し、県庁所在地の政令指定都市であれば人口が200万人未満でも特別区が設置できるようにする案を主張。他県知事らの賛同を得て国に法改正を働きかけていきたい考えだが、同制度の導入に同調する知事は今のところ現れていない。
制度改正では賛同得られず
21日の関東地方知事会議で、川勝知事は「これから人口減少社会になる。大都市の問題をどう解決するか。基礎自治体をコンパクトにするために、特別区設置を模索してはどうか」と、大都市地域特別区設置法の改正の提案理由を説明した。
会議では「二重行政で問題は生じていないが、選択肢を増やすことには反対しない」と、国に要望することが決議された。しかし、制度改正そのものに賛同した知事はいなかった。
県内に3つの政令指定都市を抱える神奈川県の黒岩祐治知事は「地域の実情を踏まえ、地域自らが判断すべきこと。神奈川は個別の問題についてその都度意見交換する場があるので、二重行政によって県民に不利益を与えていることはない」とし、「検討するのは問題ないが、私たちがこの法律を適用することはない」と言い切った。
政令指定都市が県庁所在地である千葉県の高橋渡副知事も「県と千葉市で協議の場を設けているので、二重行政に大きな課題はない。大都市制度は国の形を左右するので、大局的に議論すべきだ」と発言。埼玉県の塩川修副知事からも、「地域の仕組みは多様であっていいが、(埼玉県は)企画調整会議で連携を進めており、二重行政はないと考える」と二重行政の解消策としての制度改正に慎重な見方が示された。
川勝知事は会議終了後、今回の決議について「(各県知事は)現状のままでいいということだろうが、国に提案することになったので、一歩前に進んだ」と評価した。だが、静岡県と同様の悩みを抱えるはずの関東圏の知事からさえ、制度改正への賛同を取り付けられなかったことで、法改正への道のりは険しい情勢になっている。