中国5中総会

総会閉幕「一人っ子政策」廃止 安定成長へ構造改革

 【北京=川越一】中国共産党の重要会議、第18期中央委員会第5回総会(5中総会)は29日、経済中期目標を定める第13次5カ年計画(2016~20年)の基本方針を承認し、閉幕した。閉幕後に発表されたコミュニケには、人口抑制を目的とした「一人っ子政策」を廃止し、すべての夫婦に第2子の出産を認めることなどが盛り込まれた。経済成長を支える労働年齢人口(15~59歳)の減少が危機的状況にあることを示している。

 また、コミュニケは16年からの5年間について、「矛盾が重なり、リスクが増える厳しい困難に直面する」との認識を示した。近年の景気減速で構造改革を迫られており、コミュニケでは、消費主導経済への構造転換を図るなど、改革を加速する方針が示された。

 一方で総会は、世界経済における中国の発言力を向上させる意思を表明した。習近平指導部が掲げる「20年までに国内総生産(GDP)と国民1人当たりの収入を10年の2倍にする」との戦略の達成に向け、「中高速の経済成長」を目標とすることも明記された。

 今年が最終年となる第12次5カ年計画は、5年間の年平均の成長率目標を7・0%に設定。中国のインターネット上には29日、李克強首相が23日に党高級幹部研修機関、中央党校で行った演説の全文が掲載され、李氏は「今後5年、毎年6・53%のGDP成長率がなければ、20年に全面的な小康社会を作り上げる目標の実現は難しい」と述べた。

 反腐敗運動の継続や、深刻な大気汚染など環境問題への対応も重要課題に据えられた。今後の政局を占う指針とみられた人事は、令計画・元人民政治協商会議(政協)副主席らの党籍剥奪に伴い、少数民族の3人が中央委員に補充されるにとどまった。

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