5月7日、「人種等を理由とする差別の撤廃に向けた速やかな施策を求める意見書」を発表した日本弁護士連合会でさえ、以下のように述べている。
《刑事規制の対象となるヘイトスピーチか否かの判断は、当該表現行為の内容に着目せざるを得ず、表現内容の判断にまで踏み込んで規制対象を確定することになるから、表現に対する内容規制となる。/この点、名誉棄損表現、わいせつ表現等の事例で内容規制を一定の限度で合憲とする判例が定着している一方で、学説上は、表現の内容規制が正当化されるのは、当該表現行為が違法行為を引き起こす明白かつ現在の危険を有する場合に限定される等、厳格な基準が採用されている。このような現状の下で、規制されるべきヘイトスピーチと許される表現行為との区別は必ずしも容易ではないし、思想の自由市場の観点からは、表現内容に着目して刑事規制を行うことについては、なお慎重な検討を要する》(同意見書)
このような事情から法案も規制法でなく理念法にしたと思われるが、理念法であるとして、この法案を侮ってはならない。ここには恐るべき狙いが隠されている。