主張

辺野古の代執行 移設進める適法手続きだ

 米軍普天間飛行場の辺野古移設問題で、政府は翁長雄志(おなが・たけし)沖縄県知事による埋め立て承認取り消し処分を撤回する「代執行」手続きに入った。

 また、石井啓一国土交通相は、公有水面埋立法を所管する立場から、取り消し処分を一時執行停止にした。

 いずれも、沖縄を含む日本の安全保障を確保し、住宅密集地に隣接する普天間の危険性を取り除く適法な措置だ。これを受け防衛省沖縄防衛局は29日にも埋め立ての本体工事に着手する。

 安倍晋三政権が移設への明確な姿勢を示した点を評価したい。

 地方自治法は、国が知事に事務を託す「法定受託事務」に関するトラブルによって行政が停滞しないよう、代執行の仕組みを設けている。

 知事による法定受託事務が法令に反し、放置すれば「著しく公益を害する」ときには、高等裁判所での判決を経て、所管閣僚が事務を行うことが認められる。

 翁長氏は、国が進める辺野古移設に対し、政策的判断として反対している。だが、仲井真弘多(ひろかず)前知事による埋め立て承認を取り消し、対抗することは、法定受託事務からの逸脱にあたる。

 代執行という字面から、政府による強権的な措置ととらえるのは誤りである。

 安倍首相が翁長氏の取り消し処分について「違法だ。移設の目的は普天間の危険性除去であり、著しく公益を害する」と指摘したのはしごく当然だろう。

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