関西電力のトップらが原子力規制委員会から呼び出しを受ける異例の事態となった。美浜3号機(福井県)の審査書類の提出遅れが、ほかの4基の審査スケジュールにも影響を及ぼすとの懸念があるためだ。関電の八木誠社長は27日に開かれた規制委の臨時会合で「おわび申し上げる」と陳謝して提出を急ぐ考えを示したが、規制委は「(原発審査の)取捨選択をしなければ、共倒れのリスクがある」と危機感をあらわにした。
東京都内で開かれた臨時会合は緊迫した雰囲気に包まれた。「こういう機会を持つことが、現実的に相当厳しいと象徴している」。委員の一人はこう強調した。
老朽原発の美浜原発3号機は、審査の合格期限となる来年11月まで、あと約1年。間に合わないと、廃炉が決定的となる。
こうした問題を回避するには、大飯原発3、4号機と高浜1、2号機の審査を遅延させてでも、美浜3号機に力を注がざるを得ない状況になってきている。
関電が主張する5基並行の審査に固執していては、美浜3号機が廃炉になるばかりか、ほかの原発の審査も進んでいないという「共倒れ」を起こしかねない。
関電が審査の優先順位付けに難色を示すのは経営上の事情がある。