解答乱麻

偏向教育と闘った大達文相の憂慮 武蔵野大教授・貝塚茂樹

 「18歳選挙権」を前にして、「有権者教育」への関心が高まっている。文部科学省と総務省は副教材と指導資料を作成し、全国の高校生に配布することになった。現実の政治課題を取り上げ、生徒に具体的な提言を作成させるといった参加型授業を重視した内容となっている。大いに期待したい。

 その一方で課題となるのが教師の政治的中立性の問題である。折しも、堺市の小学校では安倍晋三政権を批判する張り紙が教室と廊下に張られ市議会で問題となった。また北海道教育委員会は一部の高校に安倍政権を批判した文言を記した文具があったことを問題視し、道内の公立学校への調査を始めた。

 教育基本法第14条2項は、「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない」と規定している。指導資料が、「教員が個人的な主義主張を述べることは避け、中立かつ公平な立場で生徒を指導することが求められる」としたのは当然だ。

 昭和29(1954)年、教育の政治的中立性の確保を規定した、いわゆる「教育二法」が成立した。「文部省対日教組」という対立が頂点を迎えていたこの時期、「偏向教育」の是正を掲げ、法律制定に獅子奮迅の働きをしたのが、当時の文部大臣であった大達(おおだち)茂雄(1892~1955年)である。

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