マイナンバー汚職

見栄に汚れたカネをつぎ込んだアウトロー官僚 なぜ厚労省の自浄作用は働かなかったのか?

 逮捕当日も、白い麻のジャケットに胸元までボタンを開けたシャツ。ウエーブのかかった髪にメガネを鼻にかけ、人さし指には大柄な指輪をはめていた。捜査関係者は「あまりに目立つので、行動確認(尾行)も簡単だった」と振り返る。

 捜査関係者はいう。「肩書を並べたり、派手な服を着たり、周囲に飲食をおごったり。見栄っ張りな性格が賄賂を必要とした面もあったかもしれない」

■度重なる便宜、数百万円を自ら要求

 中安容疑者が便宜を図ったとされるのは、平成23年11月に東京都千代田区のIT関連会社が受注した2つのマイナンバー制度絡みのシステム開発事業だった。

 この事業は契約金額は計約2億1千万円で、ほかにも複数の業者が入札したが、いずれも贈賄側のIT関連会社が契約していた。

 入札は「企画競争」で行われ、省庁が作成して公表した仕様書に沿い、業者側が提案書を作成し、省庁がコストだけでなく、企画のアイデア面などについても評価基準に基づいて採点し、採用する。

 中安容疑者は仕様書の作成に関わる立場にあったが、企画競争が公募される数カ月前からIT関連会社に接触して仕様書をIT関連会社に作成させ、提案書の書き方も助言していた。

 ただ働きではない。中安容疑者はIT関連会社の受注が確実となった11月上旬、中安容疑者は100万円に見立てた指を一本立てて、現金100万円をIT関連会社の70代元社長に要求した。

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