生活必需品の消費税率を低くする軽減税率をめぐり、与党税制協議会による制度設計が本格化している。
自民党は、税収減をなるべく抑えられるよう導入時の対象品目を絞り込みたい意向だ。これに対し、公明党は酒を除くすべての飲食料品を対象とするよう求めており、両党には大きな開きがある。
ここは、何のために軽減税率を導入するのかという趣旨を改めて確認する必要があろう。
増税に伴う国民の痛税感をできる限り緩和し、低所得者の負担を抑えるのが本来の狙いである。対象の品目を限定しすぎると、その効果は期待できない。
安倍晋三首相は自民党税制調査会に対し、平成29年4月に消費税率を10%に引き上げるのと同時に、軽減税率の導入を目指すように指示した。その際には、事務負担が増える中小事業者への配慮も求めている。
これを受けた与党協議で、軽減税率実施時に必要となるインボイス(税額票)導入について、現行の帳簿などを活用した簡易方式で当面は代替する方向となった。その上で数年後に欧州並みのインボイスへの移行を目指すという。現実的な判断といえよう。
問題は、税率を軽減する品目の線引きである。