大坂冬の陣に参戦するために追放先の紀州・九度山を脱出、真田丸を築いて徳川方をさんざんに苦しめたが…。悲劇のヒーローとして知られる真田幸村(信繁)の活躍を、歴史学者が史料をもとに再検証する。現代に伝わっている逸話についての誇張や間違いもズバズバ指摘していくが、おとしめるようなニュアンスではない。〈果敢に徳川方に立ち向かったことは事実であり、賞賛すべき「真の英雄」であるのは間違いのないことである〉。真田十勇士に真田の抜け穴、あるいは影武者説、生存説…紹介されるエピソードがいちいち面白い。(光文社新書・800円+税)
書評