先日、といっても2カ月も前になってしまいますが、紙面で「戦後70年 高度成長の軌跡」という連載企画がありました。そのなかで霞が関ビルを取り上げた記事を読んだとき、そういえば以前は容積を表すときに「霞が関ビル○杯分」というふうに表現していて、霞が関ビルの容積(約52万立方メートル)を確認しつつ何杯分か計算していたことを懐かしく思い出しました。しかし、今はこの表現はあまり見かけなくなりました。かわって容積を物に例えて使うときには「東京ドーム○杯分」という表現をするようになりました。
東日本大震災の復興事業で、岩手県陸前高田市で行われた土地のかさ上げのために大量の土砂をベルトコンベヤーで運ぶ「希望のかけ橋」が9月に稼働を終えるとの記事で「東京ドーム4杯分強となる約500万立法メートルの土砂」と出てきたときは、東京ドームの容積(約124万立方メートル)からの計算が合っているか確認を怠るわけにはいきません。
霞が関ビルができる前には、旧丸ビル(約30万立方メートル)で表していたそうです。一辺が100メートルで高さが30メートルのその形状を巨大な升に見立てて「○杯」と表現することでイメージしやすかったのでしょう。
このように物を使って表す例は容積だけでなく広さ、高さなどにも出てきます。例えば広さでいえば東京ドーム○個分、山手線内の○倍など、高さなら東京タワー何個分、富士山の何倍など、距離なら地球何周分という具合です。地震などのエネルギー量を「広島型原爆何万個(発)分」とするときもありますが、あまり気持ちのいいものではありません。