自民党税制調査会が、消費税増税時の軽減税率導入に伴う税収の目減りを補う財源に、「総合合算」と呼ばれる低所得者向けの社会保障の負担軽減措置分を充てる案を検討していることが22日、分かった。また、政府・与党は同日、専業主婦らがいる世帯の税負担を軽くする「配偶者控除」の見直しを来年度税制改正で見送る方針を固めた。
総合合算は、医療や介護などの自己負担額に世帯当たりの上限を設け、それ以上の支出を強いない仕組みで、総額で4千億円程度充てられている。自民党税調はこの制度の上限を引き上げることで財源の捻出を検討している。
軽減税率では、対象品目の線引きと財源、経理事務が焦点となっている。対象品目として公明党が主張する「酒類を除く全飲食料品と新聞、出版物」に2%の軽減税率を適用すると1・3兆円の税収減になり、総合合算分を全額充当すると約3分の1を穴埋めできる計算。「生鮮食品」を軽減税率の対象にしたケース(3400億円)だと完全に目減り分を補填できる。
自民党税調が総合合算を充てる案を検討するのは、財政健全化が念頭にある。ただ、低所得者対策が目的の軽減税率導入に、ほかの低所得者対策を充て、トータルの負担感が変わらなくなれば「付け替え」との批判が出るのは避けられない。別の財源確保策の検討も迫られそうだ。