スゴ技ニッポン

夢の新素材「セルロースナノファイバー」実用化へ 強度=鉄の5倍、重量=5分の1 製紙各社の開発急ピッチ

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 日本は国土の7割を森林が占めているにもかかわらず、ほとんど活用されず、眠ったまま。CNFの普及は、森林資源の有効活用や過疎化の防止に道を開く。

 一方、製紙各社は人口減やIT普及によるペーパーレス化を背景にした紙需要の減少に苦しんでいる。日本製紙連合会によると、紙と段ボール原紙の板紙を合わせた国内需要は、00年の3196トンをピークに減少を続け、14年は2743万トンまで落ち込んでいる。安価な輸入紙の流入や、円安による原材料費の上昇にも苦しむなか、海外進出や低コスト化を進めつつ、新たな事業の柱を育てて「紙頼み」から脱却することが不可欠だ。

 政府が昨年打ち出した日本再興戦略で研究促進が明記されるなど、CNFの重要性は広く認識され始めている。製紙各社としては、追い風が吹く間に夢を現実させたいところだろう。(井田通人)

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