強迫性障害、心配なら受診を つり革握れない、カラオケマイク触れない…

 稲田さんのもとを受診した患者の中には、出産をきっかけに突然、何もかもが不潔に感じるようになり、「院内で用意されているスリッパを履くことができないため、前もって『靴を履いたままで診察可能か』を確認して来院した」(稲田さん)ほどだという。

 半数以上回復

 きれい好きと強迫性障害を分ける基準はあるのか。稲田さんは「日常生活に支障をきたし、自身が苦しい、あるいは家族など周囲の人間が迷惑を被っているかどうか」が見極めるポイントだと説明する。

 「血がにじむほど手や体を洗う」「頻繁な手洗いのため水道代がかさんで経済的に苦しくなる」といったケースは強迫性障害と考えられる。また、帰宅した子供に対し、服を脱がしきれいになるまで洗ってからでないと室内に入れない-というケースになると「虐待につながりかねない」と心配する。他人の作った料理が食べられない、他人が触った書類を受け取ることができないなどで人間関係に支障をきたし悩んでいる人もいる。

 また鬱病を併発する可能性もあり、「行為がどんどんエスカレートしたり、その行為により多くの時間を費やしている場合は専門医に相談してください」と稲田さん。治療には薬物療法と認知行動療法があり、これらで半数以上の人が日常生活を支障なく送るレベルに回復しているという。

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