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針路を聞く 日本女子大学・佐藤和人学長

 ■NHK朝のドラマのモデル校 120周年目指し、ビジョン描く

 「日本初の女子大学」の創設に貢献した女性をヒロインに、NHK朝のドラマが始まった。そのモデル校、日本女子大学の佐藤和人学長・理事長は「当時の建学の精神は今に生き、それを基本に現代の女性の教育改革を進める」と語る。6年後の創立120周年を目標に、大学の新たなグランドデザインを描く学長に聞いた。(平山一城)

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 --NHKドラマのヒロインとの関係は

 「本学の創立者は、成瀬仁蔵です。キリスト教会で牧師をしながら女子教育に携わり、約3年間の米国暮らしで女性の高等教育の必要性を痛感します。帰国後の1896(明治29)年、『女子教育』を出版し、女子大学の設立運動を始めました。そのとき、資金面から現在の東京・目白の土地取得まで助けてくれたのが、ヒロインのモデル、広岡浅子です。浅子は京都の三井小石川家に生まれ、嫁ぎ先の豪商を切り盛りし、炭鉱や生命保険業にまで進出した当時では珍しいスーパーウーマンでした。その浅子が成瀬の理念に共感し、1901年に成瀬の夢が実現するのです。その名も『日本女子大学校』でした」

 --成瀬の教育理念は

 「男女が不平等な時代に、男女平等を基本にした女子教育を目指しました。『女子を人として、婦人(女性)として、国民として教育する』を建学の精神とし、信念徹底、自発創生、共同奉仕の3綱領を掲げました。いま本学は、建学以来の伝統のある家政学部、多くの文学者やジャーナリストを輩出した文学部、私立女子大では唯一の理学部、全国に先駆けて設けた人間社会学部の4学部15学科を擁し、カリキュラムは約3千科目にのぼります。自ら基礎力をつけ、専門科目を深めて、社会に貢献する力を身につける『自学自動』主義を旨とし、成瀬の理想を羅針盤に教育を進めています」

 --それは改革の指針「Vision120」にも…

 「2021(平成33)年の120周年を目指したグランドデザインです。現代社会は、グローバル化や価値観の多様化の中で、自ら課題を見つけて解決していく。先入見や旧弊にとらわれず、時代をリードする女性の育成が求められています。そうした思いを凝縮したタグライン(指標)として『Bloom as a leader.』という言葉を昨年度から導入しました。生きるための基礎となる力(地力)をつけ、自己の可能性を開花させて、それぞれのステージでリーダーになる。そのため国際交流の推進や特色ある一貫教育の実現など学生のための教育改革、目白・西生田両キャンパスの再整備などを指針『Vision120』に盛り込んでいます」

 --キャリア教育にもつながりますか

 「これまでも、一人一人の自己発見と自己実現をきめ細かくサポートし、女性の一生をデザインする体系的なプログラムを提供しています。就職率も昨年度98・5%。卒業生の満足度も高い数値を維持しています。完成した人物を世に送り出すのが大学教育ではありません。完成を目指して自ら成長していく。その方法を知っている人材を育てることです。これから、日本や世界にとって女性の力がますます重要視されます。女子大の苦戦ともいわれていますが、本学は『女子も教育する大学』ではなく、『女子を教育する大学』の矜恃(きょうじ)を貫き、高い志を掲げて、社会で活躍する卒業生を輩出していきます」

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【プロフィル】佐藤和人

 さとう・かずと 東京医科歯科大学卒。同大学院博士課程修了(医学博士)。東京女子医科大講師を経て、1994年、日本女子大家政学部助教授、99年同教授。2013年、同学長・理事長に就任。62歳。

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