ノーベル賞受賞

物理学賞の梶田隆章氏 ニュートリノで素粒子物理学の定説覆す 謎の解明へ挑戦なお

【ノーベル賞受賞】物理学賞の梶田隆章氏 ニュートリノで素粒子物理学の定説覆す 謎の解明へ挑戦なお
【ノーベル賞受賞】物理学賞の梶田隆章氏 ニュートリノで素粒子物理学の定説覆す 謎の解明へ挑戦なお
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 今年のノーベル物理学賞に輝いた東大教授の梶田隆章氏(56)は、素粒子ニュートリノが質量を持つことを発見し、新たな物理法則の構築を迫る大きな成果を挙げた。ニュートリノは宇宙が現在の姿になった原因を理解する上で鍵を握っており、謎の解明に向けた挑戦が続いている。(草下健夫)

ニュートリノの質量証明 素粒子物理学の定説覆す

 ニュートリノは物質を構成する基本単位である素粒子の中で、最も謎の多い存在だ。1970年代に確立された「標準理論」と呼ばれる素粒子物理学の基本法則では、その質量はゼロとされてきたが、この定説を覆したのが梶田氏だった。

 ニュートリノは電子型、ミュー型、タウ型の3種類があり、飛行中に別のタイプに変身する不思議な性質がある。「振動」と呼ばれる現象で、これを確認すればニュートリノに質量があることの証拠になる。

 梶田氏は、超新星爆発に伴うニュートリノの観測で2002年にノーベル賞を受けた小柴昌俊氏(89)に師事。岐阜県飛騨市神岡町の地下にある観測施設「カミオカンデ」の観測データを解析し、宇宙線が大気中の原子核と衝突して生まれる「大気ニュートリノ」でミュー型が理論予想より少ない異変を1986年に見つけた。

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