都市を生きる建築(46)

未来を育む「倶楽部建築」…中央電気倶楽部

 当時の新しいデザインが目を引く大江ビルヂングに対して、中央電気倶楽部の外観には伝統に根ざした落ち着きがある。この違いはオフィスビルと倶楽部建築という建物の性格に合わせたもの。未来志向のモダンさは内部に秘められている。柱型や暖炉の形は幾何学的で、和室の天井カーブや談話室におけるアーチ型などのデザインも独特だ。さまざまな目的の部屋が流れるようにつながっているのも特徴で、玄関から喫茶室を抜けた先、隣の喫茶室よりも床を少し下げた撞球室は、今も会員がビリヤードに興じるのに適したつくりとなっている。

 先々週の土曜日(10月3日)、一般社団法人「住宅遺産トラスト関西」の設立シンポジウム「良質なすまいのうけつぎ方」が大ホールで開かれ、参加者は150名余を数えた。明治から昭和にかけて建てられた洋館や町家などの優れた建物が関西には多い。同法人は、こうした住宅遺産を後世に伝えるための所有者支援を目的に、関西の弁護士や建築家が中心となって設立された。思えば中央電気倶楽部ほど、弁護士と建築家が手を携え、専門家として市民に何が提供できるのかを考える会の門出にふさわしい場所はない。そんな建物が生きていることが未来への原動力になる。(倉方俊輔/建築史家・大阪市立大学准教授)

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