究極の原発話

事故があっても逃げない方が安全なのか? 東大の研究を解読してみた

 東京電力福島第1原発事故直後に自主避難した高齢者の健康リスクは、その場で家にとどまった場合の約400倍-。そんな試算結果が9月、東大生産技術研究所などの研究チームが米インターネット学術誌「プロスワン」に発表した論文で初めて明らかになった。九州電力川内原発(鹿児島県)が再稼働し、全国の原発立地自治体で避難計画の策定が進む中、避難そのもののリスクはどこまで考慮されているのか。東大の研究を解読してみた。(原子力取材班)

南相馬の375人を調査

 調査は、福島第1原発からおよそ20~30キロにある南相馬市内の特別養護老人ホームなど3施設の入居者191人と職員184人の計375人を対象に実施された。

 「迅速な避難(事故から10日後)」「時間をおいた避難(事故から約3カ月後)」と「20ミリシーベルトの被曝」「100ミリシーベルトの被曝」の4つのシナリオに基づき、実際に避難した高齢者の死亡例や、原爆被爆者の健康影響の調査結果などをもとに評価。調査は避難によるリスクと、被曝によるリスクを「損失余命」と呼ばれる共通の指標で比べたものだ。

 調査結果によると、事故後すぐに避難した場合の損失余命は合計1万1000日で、3カ月後に避難した場合に回避できた被曝による損失余命(27日)の約400倍に上った。

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