安心、安全を保証する技術力こそ、日本が世界に誇れるものではなかったのか。
その基礎となるデータに虚偽や改竄(かいざん)を加える行為などは、もってのほかである。モノづくりに従事するプライドはないのか。信用を失えば国も企業も立ちゆかない。
東洋ゴム工業は電車や船舶などに使われる防振ゴム製品で、性能データを改竄するなどの不正があったと発表した。
同社は今年、免震装置ゴムのデータ改竄が発覚し、6月に社長らの引責辞任を発表したばかりだった。平成19年にも防火用断熱パネルの性能偽装があり、当時の社長が辞任している。
これが3度目の不正である。防振ゴムの不正を受けた会見で同社幹部は「改めて再発防止に取り組む」と述べた。反省の弁は、ただただ空々しく響く。
免震ゴムの不正発覚後、同社は全社に緊急品質監査を実施し、8月10日、「新たな不正行為はなかった」と結果を公表し、問題を調査した外部の弁護士は「3回目の不祥事を起こしたら会社の存続は危うい」と総括していた。
防振ゴムの不正に関する内部告発があったのは、そのわずか10日後だ。告発後の調査、公表もあまりに遅く、あきれるばかりだ。
三井不動産グループが販売した横浜市内の大型マンションでは、基礎工事のくい打ちを担当した旭化成建材が地盤調査の一部で虚偽データを使い、複数のくいが強固な地盤である「支持層」に届いていないことが明らかになった。