大村さんフィーバー続く 山梨県美術館や文学館で特別展

 北里大特別栄誉教授で韮崎市出身の大村智さん(80)が今年のノーベル医学・生理学賞に決まってから15日でちょうど10日が経過した。県内のお祝いムードは今も冷めず、県美術館や文学館で大村さん関連の特別展示も始まった。大村さんは同夜、静養のため、受賞後初めて地元に帰省。フィーバーはまだまだ続きそうだ。

 甲府市貢川の県立美術館では、大村さんが平成17年に自身のコレクションから同館に寄贈した油彩2作品の特別展示が始まった(終期未定)。

 フランスの画家・グリムー「フルートを吹く少年」(1732年)と英国のへリック「もの思い」(1874年)。いずれも表情が豊かに描かれた人物画だ。

 大村さんは平成16年から昨年まで同館協議会の会長を務めており、その縁で寄贈を受けたという。

 「美術鑑賞も研究の一部。鑑賞を通じて研究者としてのセンスを磨くことができる」

 大村さんの言葉を引用し、「(作品寄贈や美術館設立など)偉大な功績は県民文化全体の向上に多大な貢献を果たされました」とした白石和己館長のメッセージが、大村さんの写真と並んで掲げられている。

 甲府市緑が丘の県立大国際学部4年、岩間彩華さん(21)は、「研究で忙しいのに美術や芸術にも関心を持ち、寄贈など貢献も欠かさない。人間として素晴しい」と感想を話した。

 美術館に隣接する県文学館でも、大村さんが平成13年から無償で寄稿を続ける地元の同人誌「中央線」の実物を12月下旬までの予定で特別展示。手に取って読むことができる。

 「中央線」は韮崎市の中央線社が毎年末に1度発行しており、市内の書店で買えるという。

 26年まで計12回、巻頭エッセーを「大村哲史((さとし)」のペンネームで寄稿。スマートフォンに夢中の若者に「もっと本を読む時間を持って貰(もら)いたい」「周(まわ)りの季節と自然を感じる力を養って貰いたい」と訴えた『愚痴』という作品など、肩肘張らない正論が目立つ。

 滞在中の旅館で展示を聞いて立ち寄ったという東京都練馬区の山岡弘子さん(79)は、「同世代の先生の受賞がうれしい。多趣味と知りびっくりした」。

 「中央線」の編集人、蔦木雅清さん(68)=北杜市武川町=は「文人を超える文章力。地元のために無償で寄稿いただき頭が下がる。ノーベル賞に最も近い人と思っていた」と話した。関係者は多忙な大村さんに心を配りながら、年末発行の次号への寄稿を心待ちにしている。

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