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第二次世界大戦中、大量の金塊を積んだUボートが今も黒海に沈んでいるという…。この金塊を引き揚げようと元英海軍軍人のロビンソン(ジュード・ロウ)が、英、露の元潜水艦乗りを集め、旧式潜水艦で黒海を潜航する米映画「ブラック・シー」が公開中だ。「『眼下の敵』は何回見たか分からない。『レッド・オクトーバーを追え!』は早く内容が知りたくて、トム・クランシーの原書を取り寄せて読んだくらいです」と語るのは海上自衛隊潜水艦「せとしお」の元艦長、山内敏秀さん。潜水艦映画に造詣の深い山内さんに「ブラック・シー」の見どころ、そして潜水艦映画から知ることのできる海の忍者の秘密を聞いた。(戸津井康之)
船体を棒で叩かせ、岩に反射する音の時間を測定
「潜水艦の戦いは、音の戦いともいえます」。前回、山内さんが語ったこの言葉を象徴するようなシーンが映画「ブラック・シー」の中に出てくる。
いかに敵に見つからず、いち早く敵を発見するか。海中での潜水艦の戦いで雌雄を決する重要な責務を追うのが、「ソナーマン」と呼ばれる乗員の存在だ。
海中に潜む敵潜水艦や海上を航行する敵軍艦を音によって発見し、その位置を正確に割り出すのがソナーマンの役割。聴覚に優れた者が抜擢(ばってき)される。
「ブラック・シー」でロビンソンらの乗る旧式潜水艦は、露軍の潜水艦や軍艦に見つからないよう海底近くを潜航していく。そのため海底から突き出た岩の間を縫うように進まなければならない。ソナーマンが仲間に潜水艦の船体を棒で叩(たた)かせ、岩に反射する音の時間をストップウオッチで測定しながら、ぶつからないよう潜水艦を誘導していくシーンが描かれる。