ノーベル物理学賞・梶田さん会見「柏は研究者に温かい」 市と市民に感謝 千葉

 ノーベル物理学賞に輝いた東京大教授の梶田隆章さん(56)が13日、受賞が決まって初めて、所長を務める柏市柏の葉の東大宇宙線研究所に出勤し、学生や教職員に大きな拍手で出迎えられた。会見では「柏は研究者を温かく迎えてくれるありがたい町。市長をはじめ、(研究所の)発展を常に気に掛けてくれている。環境が大切だと思う」と、柏市と市民への感謝を述べた。

 会見に先立っては、市民を代表して市立柏の葉小学校6年の田淵芙美歌さん(11)と5年の佐々木仰(あおぐ)君(11)が秋山浩保市長とともに研究所を訪れた。2人から花束を贈られた梶田さんは満面の笑顔で応え、「理科の実験は結果が出たときが楽しい」「予想とは違う実験結果が出るのが面白い」などと話す2人を、「身近な物への興味を持ち続けることが大切」と激励した。

 柏市は16日に市広報紙「広報かしわ」のノーベル賞受賞記念号外を市民向けに発行する。できあがったばかりの試し刷りを手渡された梶田さんは、1面の自分の写真を見て笑顔を浮かべ、「市民にノーベル賞が身近になった。講演などで科学をより身近なものにしてほしい」とする秋山市長に、今後も研究所公開などを進めていくことを約束した。

 会見では柏への思いや、科学発展への願いを語った。研究所がある未完成の柏キャンパスの将来像を尋ねる質問には、「北側にどんなものを作るか未定だが、より発展させたい」と意欲を示した。

 研究所では、平日の午前9時から午後9時ごろまで仕事をしているという。所長としての仕事が忙しく「周辺を散歩できない」と少し残念そうな表情。「きょう通った(つくばエクスプレス)柏の葉キャンパス駅や、(キャンパスの)入り口にも自分の名前が出ていた。申し訳ない気持ちだ」と控えめな人柄ならではの感想を述べた。

 自身のニュートリノ研究については「経費がかかるため、国のサポートがなければやっていけない。国のサポートとは国民の理解のこと。それには科学の大切さを知ってもらうしかない。地道に科学の大切さ、面白さを伝えていきたい」と話し、「23、24日には柏キャンパスが公開されます」と付け加えてPRした。

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