正論

科学の力とノーベル賞ラッシュ 動物行動学研究家、エッセイスト・竹内久美子

 先ごろ、2015年ノーベル医学・生理学賞に、北里大学特別栄誉教授の大村智氏、同じく物理学賞に、東京大学宇宙線研究所教授の梶田隆章氏の受賞が決定。2日続けての日本人の受賞に誰もが胸躍り、勇気づけられた。

 ノーベル賞の科学部門については1949年の湯川秀樹氏(物理学賞)から始まり、87年の利根川進氏(医学・生理学賞)まで、約40年を要して5人が受賞している。しかしその次の受賞者である白川英樹氏(化学賞)の2000年からは状況が一変。たった15年で16人という怒濤(どとう)の受賞ラッシュが続いている。この件についてもわれわれは大いなる勇気をもらっている。

 そして今回の2人の受賞では、これまでとは違う流れを私は感じ、科学の研究のために本当に必要なものとは、やはりこういうことであったと確信することになったのである。

 ≪好きでたまらないことの大切さ≫

 大村氏は山梨大学、梶田氏は埼玉大学(それに昨年の物理学賞の中村修二氏は徳島大学)と地方の国立大学の出身である。これまでのノーベル賞受賞は、東大や京大などの出身者に独占されていたが、科学の研究をするための能力と大学受験時の学力などというものは、実際にはあまり関係がないということである。

 本当に必要なのは、今自分が身を置いている分野のこれまでの研究の歴史と、今何が問題になっているかを把握すること、これからどんな研究をすべきで、そのためには実験などをどう組み立てるか、といった物事を見極める能力、あるいは勘やセンスのよさのようなものである。

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