海の中から日本周辺海域の警戒監視や情報収集に当たる潜水艦部隊。その働きが国民の目にほとんど触れることがないため、「海の忍者」ともいわれる同部隊に、昭和55年3月の海上自衛隊入隊以来、一貫して勤務してきた。
部隊創設60周年と潜水艦運用100年に当たる節目の年の受章に、「非常にありがたい。身が引き締まる思いです」と喜びを語る。
18歳で入隊して間もなく、佐世保基地に寄港した潜水艦「たかしお」を目にした瞬間、「かっこいい」と心を奪われた。そこから潜水艦乗員を目指し、20歳から44歳まで、長いときには1カ月を超える航海に数多く従事した。
潜水艦内には数十人の乗員がひしめき合い、密閉された空間での集団生活は過酷を極める。高いストレス耐性や協調性が求められ、「どこに行き、どういう成果があったか、同僚や家族にもいえない」孤独とも闘った。それでも、「国の平和と独立のため」の一心で勤務を続けてきた。