厚生労働省は4日、たばこのニコチンが切れるとイライラし、たばこを吸いたくなる喫煙者の「ニコチン依存症」を対象とした「禁煙治療」の公的医療保険の適用を拡大する方向で検討に入った。喫煙歴など保険の適用条件を緩和し、20代の若年層も、自己負担が少なくて済む保険適用による禁煙治療を受けやすくする方向だ。若い世代の喫煙を減らし、将来の医療費を抑制する狙い。
禁煙治療は平成18年から保険が適用されるようになった。患者はニコチンを含んだ貼り薬などを処方される。保険適用の対象患者と認められる条件の一つに、1日の喫煙本数に喫煙年数をかけた数値が200以上という基準がある。たばこを1日1箱(20本)吸っても、喫煙年数が10年を経過していなければ対象にならない計算だ。
長年、喫煙しているヘビースモーカーの中高年は対象になりやすいが、20代は喫煙年数などが足らず、保険適用の対象外になるケースが少なくない。日本は海外に比べて禁煙治療の受診率が低い上、「1日5~6本でも依存症になる喫煙者には受診しづらい」(厚労省健康局)制度となっていることから、厚労省は200以上という条件の撤廃を検討している。