「自撮りサル」著作権はサル自身にある? 動物愛護団体「収入を保護活動に」提訴で論争

 スラウェシ島でクロザルの一群と出会い、スレイターさんが三脚の設置など撮影準備をしていると、近づいてきたナルトがカメラ1機をひったくり、シャッターを押しまくったのだった。ほとんどの写真は使い物にならなかったが、中に「奇跡的に」プロ級のものが1枚含まれていた。斜めのアングルで自身が中心に据えられ、歯を出している笑顔が愛らしい、愉快な1枚だった。

 スレイターさんはこの写真を自身の写真集に載せるとともに、インターネット上に投稿。写真は瞬く間に広まり、ウィキメディアが運営する「ウィキペディア」が翌年、パブリックドメイン(公有財産)を集めたオンラインコレクションに加えたのだった。「最初の1年で(写真使用料で)2000ユーロ(約27万円)得られたのに、オンラインコレクションに載せられたことで使用料収入が途絶え、著作権も侵害された」として昨年8月、ウィキメディアを訴えた。

 ウィキメディア側は「人間以外は著作権を所有できない」と主張し、スレイターさんは「この写真は私が所有しているのだがら、当然私に著作権がある」と反論。結局、昨年12月、米著作権庁が「人間以外の動物による作品は著作権の対象とはならない」とする判断を示し、ウィキ側に軍配が上がった。

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