暮らしの理科ノート

ディーゼル車で問題の窒素酸化物(NOx)ってどこから来るの?

 デスク 独フォルクスワーゲン(VW)のディーゼル車に試験を不正に逃れるソフトウエアが組み込まれていたということだけど、そもそも排ガス中の窒素酸化物(NOx=ノックス)ってどうやってできるの?

 理科男 NOxは実は軽油やガソリンに含まれているものではありません。実は、空気そのものが形を変えたものなんですよ。

 ご存じの通り、空気は約2割が酸素、約8割が窒素です。この酸素と窒素がエンジン内で結びついてNO(酸化窒素)やNO2(二酸化窒素)などのNOxができるのです。これが大気に放出され、雨に溶けると酸性雨の原因になります。ディーゼルエンジンだけでなく、普通のガソリンエンジンも、ボイラー、ガスヒーターも空気中の酸素を利用して燃料を燃やすものは多かれ少なかれ、この「サーマル(熱由来)NOx」ができます。

 石油にも窒素成分は含まれ、それが燃焼することによってできる「フューエル(燃料由来)NOx」もありますが、窒素が石油に占める割合は重量比で0・5%以下。硫黄酸化物(SOx)の原因となる硫黄の5%程度と比べても10分の1と小さく、主ではありません。

 ディーゼルエンジンは、1世紀以上も前に発明されながら、トラックやバスなど大型車で現在も主流なのは、低速におけるトルク(加速力)が強いためです。しかし、原理的に、多くの空気が高温にさらされるので、たくさんのNOxが排出されてしまいます。通常は、できたNOxを後処理で無害なものに分解するのですが、VWは排ガスを再循環させて燃焼温度を下げ、NOxを低減する装置を搭載。単純に温度を下げると、走行性能を下げるような弊害がいくつも出てくる。どうやら不正ソフトは、エンジン回転数の変化などから試験中かどうかを認識し、試験中でなければこうした環境対策機能を「無効化」させていたとみられています。

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